介護福祉士とヘルパーの違いについて、言葉は知っているけど詳しくはわからない、など気になっている方も多いのではないでしょうか?実際に介護福祉士とヘルパーでは、資格や仕事内容など、さまざまな点において違いがあります。そこで今回は介護福祉士とヘルパーの違いについて詳しく解説いたします。
①資格の違い
介護福祉士とヘルパーには、まず資格による違いがあります。介護福祉士は、介護職員初任者研修・実務者研修の上位資格となり、一方でヘルパーとは、一般的に訪問介護員(ホームヘルパー)のことをさします。訪問介護員の資格には、主に下記4つの資格があります。
1.介護職員初任者研修
2.実務者研修
3.介護福祉士
4.生活援助従事者
これらの資格の中でも、介護福祉士は「介護職員初任者研修」と「実務者研修の上位資格」にあたります。高齢者などの生活援助を、訪問して行う訪問介護員(ホームヘルパー)という仕事自体は、無資格でも行うことができます。しかし身体介護をともなう場合には、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)が必要です。
そして介護職員初任者研修は、厚生労働省の指針をもとに行われる、都道府県の認定資格であるのに対し、介護福祉士は国家資格のひとつです。
介護職員初任者研修は、訪問介護員(ホームヘルパー)における最初の資格で、その後、実務者研修を経て介護福祉士へとレベルアップするという、キャリアパスが想定されています。生活援助従事者は、訪問介護の仕事内容(身体介護・生活援助)のうち、生活援助のみが主な仕事となります。
また、介護福祉士と訪問介護員(ホームヘルパー)の資格は、取得方法にも違いがあります。介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)を取得するためには、130時間の研修時間と、修了試験に合格することが必要ですが、これに実務経験は必要とされておらず、これから訪問介護職に携わりたいと考えている方が目指す認定資格です。短期取得を考えている場合は、1か月程度で取得することも可能です。
介護福祉士の取得には、受験資格を満たすことが必要で、実務経験から国家試験を受験する場合は、3年間の実務経験と実務者研修の修了が必要です。もしくは、福祉系の高校で所定の科目と単位を取得し卒業するか、または指定された2年制以上の養成施設を卒業した後(2022年度以降)に受験することが可能となります。そして、年に1回行われる国家試験に合格することが必要です。このように介護職員初任者研修とその上位資格である介護福祉士には、研修時間の差や難易度にも大きな差があり、それゆえに実務においても介護福祉士の有資格者が求められる場面も少なくありません。
②仕事内容の違い
介護福祉士とヘルパーには、仕事内容についても違いがあります。ここでは仕事内容の違いについて、詳しく紹介します。
・ヘルパー(介護職員初任者研修・実務者研修)の仕事内容
訪問介護員(ホームヘルパー)の主な仕事には、身体介護と生活援助があります。
身体介護では、食事介助や入浴介助、おむつ交換や着替えの介助などを行い、利用者の日常生活をサポートするのが仕事です。
生活援助では、身体介護以外の援助を行う仕事で、料理や掃除、洗濯や日用品の買い出し、薬の受け取りなどがあります。
利用者本人が自立した生活ができるよう、サポートを行うことが主な目的のため、庭の掃除やペットの世話など、本人以外の援助については生活援助のサポートを行うことができません。また、生活援助は同居人で生活援助ができる人がいる場合、訪問介護員(ヘルパー)のサポートを受けることができない場合もあります。
・介護福祉士の仕事内容
介護福祉士の仕事内容は、訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事内容も含まれており、多岐にわたります。たとえば、利用者のメンタルケアや利用者の家族からの相談、家族への指導や助言などがあげられます。
介護福祉士が行うメンタルケアは、利用者が家族や近隣住民と良好な関係を構築できるようサポートをしたり、介護についての指導や助言をしたりすることも含まれます。他にも、介護スタッフ陣のチームマネジメントなども求められ、スタッフの仕事を管理したり、指示をだしたりすることなども必要な業務です。このように介護福祉士は、訪問介護員(ホームヘルパー)よりも仕事内容の幅が広く、より高い専門性を求められます。
③給料の違い
介護福祉士とヘルパーは、給料にも大きな違いがあります。現在、厚生労働省が主体となり介護従事者処遇改善加算という政策を行っていて、介護現場による労働賃金の引き上げ政策が行われています。令和2年と令和3年では、介護従事者の平均給与額は軒並み上がっていて、5,000〜1万円の差があります。
介護職員初任者研修修了者(旧ホームヘルパー2級)の月給は、令和3年9月の時点で300,510円でした。令和2年9月に行われた同じ調査では、293,360円だったので、7,150円の賃上げが行われています。
ただしこの給料は、介護職員処遇改善加算を取得(届出)している事業者のみに限定されているため、届出を出していない事業所の平均月給は、上記のデータよりも低くなっていることが想定されます。
また、介護福祉士実務者研修修了者(旧ホームヘルパー1級)の給料は、令和3年9月の時点での調査によると307,330円だったことが報告されています。令和2年度の月給は299,890円だったので7,440円の賃上げが行われています。こちらの給料についても、介護職員処遇改善加算を取得(届出)している事業者に限定されているので、届出を出していない事業所の平均月給は、上記のデータよりも低くなっていることが想定されます。
一方で、介護福祉士の資格保持者の月給は、令和3年9月の調査で328,720円と、介護職員初任者研修修了者や介護福祉士実務者研修修了者よりも、多いということが報告されています。令和2年からの月給の引上げ金額は6,040円と、他の2つの訪問介護員の資格と比べると上がり幅は少ないという結果です。こちらの給料についてのデータも、介護職員処遇改善加算を取得(届出)している事業者に限定されているので、届出を出していない事業所の平均月給は、上記のデータよりも低くなっていることが想定されます。
介護福祉士以外の資格としては、社会福祉士や介護支援専門員などの資格があります。それぞれの平均月給は、社会福祉士は363,480円、介護支援専門員は362,290円だったことも報告されています。
介護福祉士の資格取得を目指して、キャリアアップを実現しましょう
介護福祉士とヘルパーでは、資格が異なります。ヘルパーは現在、介護職員初任者研修修了者や介護福祉士実務者研修修了者を指す場合が多く、介護福祉士の資格は国家資格として位置付けられているので、訪問介護以外の仕事に役立ちます。仕事内容としては、介護福祉士のほうがヘルパー(介護職員初任者研修修了者・介護福祉士実務者研修修了者)の資格取得者よりも幅広いです。
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