放課後等デイサービスは、障がいのある小学生や中学生、高校生を対象とした、通所支援事業所です。子どもの年齢や、発達段階に応じた活動の提供を通じて、健全な育成に取り組むことを目的に設けられました。事業所では子どもの支援のほかにも、保護者に対しても養育に関する支援を行います。今回は、放課後等デイサービス事業所の仕事内容や働くために必要な資格などについて解説いたします。
放課後等デイサービスとは
放課後等デイサービスは、障がいのある就学児に対し、日常生活上の支援や訓練、学習指導や地域交流の場などを提供し、自立的な社会生活を送れるようにサポートする事業所です。対象学年は、障がいのある小学生と中学生、高校生で、対象年齢は6歳から18歳までですが、最長で20歳までの利用が可能です。支援は、放課後や学校の休日(土日祝日や夏休みなどの長期休暇)に行い、不登校の子どもを受け入れる事業所もあります。
事業所では子どもの障がいの特性に応じ、発達課題といった個別課題に対しても支援が行われる場合があり、保護者を支援するといった役割もあります。保護者の就労に伴う子どもの安全な居場所の確保と、さらには子どものケアを一時的に代行することにより、保護者へレスパイトケア(心理的支援)も行っています。
放課後等デイサービスの仕事内容
放課後等デイサービスでは、4つの基本活動を軸に作成した活動プログラムに沿って、個別と集団での支援を行います。ここでは、放課後等デイサービスで行われる基本活動の内容と、支援に伴う業務について説明します。
●子どもへの支援
放課後等デイサービスの対象年齢は幅広いので、子どもの発達過程や特性、また適応行動などの状況に応じた支援が求められます。放課後等デイサービスには、以下4つの基本活動があります。
①自立支援と、日常生活の充実のための活動
子どもの発達に応じて、日常生活上の基本的な動作や、自立生活を支援する活動を行います。具体的には、子どもが意欲を持って、能動的に関われるような遊びなどを通じ、自己肯定感を育めるようなプログラムにそって支援します。プログラム内容には、体操や絵、社会参加など、本人の興味と関心や、発達段階に合わせたものが推奨されます。
②創作活動
創作活動では自然に触れる機会や、ものづくりの時間を設けて、表現する喜びを体験することにより、豊かな感性を養います。
③地域交流の機会の提供
地域交流を通じ、子どもの社会経験の幅を広げる支援を行います。たとえば、ボランティアの招致やほかの事業所や団体などの行事に参加し、交流を深めるなど、学校とも連携しながら、将来の自立や地域生活を見据えた活動も行う場面もあります。
④余暇の提供
子どもが好きな遊びや、リラックスできる諸活動を通して、子どもの情緒安定を図る支援を行います。支援にあたっては、状況の変化に柔軟に対応できるプログラムの作成や、前回の支援の様子を踏まえたプログラムの調整が求められます。
●保護者対応
保護者への支援と対応も、放課後等デイサービスの重要な役割です。具体的には、子どもの支援内容の報告や、学校と家庭における生活状況などの情報収集、子育てや発達などに関する相談にも対応します。保護者の時間を確保するための、子どものケアを一時的に代行することもあります。また、ペアレント・トレーニングなどを活用し、子どもの育ちを支える力を付ける支援を行うこともあります。ちなみに「ペアレント・トレーニング」とは、子どもの行動に焦点をあて、具体的な対応について学習するプログラムです。なお、支援計画の作成に関するアセスメント・モニタリングは、児童発達支援管理責任者が行います。
●その他の業務
子どもへの直接的な支援以外の業務としては、報酬算定の根拠や、サービス実施の証拠となる「実績記録票」や「サービス提供記録」の作成も行います。
支援が終わると事業所の車を使い、学校や自宅への送迎を行う事業所もあります。事業所によっては、スタッフが給食の調理を行う場合もあったりと、支援以外の業務は多岐にわたります。
必要な資格
放課後等デイサービスを運営するためには、厚生労働省で定められた、以下の人員基準を満たす必要があります。
・職種:管理者
人員基準:1名以上、業務に支障がなければ他の職務と兼務可能
・職種:児童発達支援管理責任者
人員基準:1名以上、1名以上は常勤かつ専任
・職種:児童指導員・保育士
人員基準:利用人数10名あたり2名配置、1名以上は常勤、利用人数が10人を超えた場合は1~5人増えるごとに1名プラスで配置が必要
それぞれの人員の仕事内容や、必要な資格を確認していきましょう。
・管理者
管理者はその名の通り、放課後等デイサービスにおける事務所業務を統括する人員です。事務作業のほかには、スタッフの管理やシフトの調整、外部からの窓口としての業務もおこないます。管理者になるための特別な資格要件は存在せず、福祉業界未経験からでも始められます。しかし、事業所によっては、実務経験が必要なケースもあるので、よく確認しておきましょう。
・児童発達支援管理責任者
児童発達支援管理責任者は、放課後等デイサービスの中心的存在となって子どもの支援をおこなう人員です。一般業務を行うとともに、子どもの特性に合わせた目標や、指標を定める「個別支援計画書」の作成業務もおこないます。児童発達支援管理責任者として働くためには、資格の有無によって以下の要件を満たさなければいけません。
【児童発達支援管理責任者の要件】
・特定の機関で5年以上の相談支援業務
・特定の機関で5年以上の直接支援業務(社会福祉主事任用資格者等でない場合は8年以上)
・有資格者としてそれに関わる実務経験5年以上+3年以上の相談または直接支援業務
上記のいずれかを満たした上で、都道府県が実施する研修を修了しておく必要があります。
・児童指導員、保育士
最後にあげられる人員は、児童指導員と保育士です。児童指導員や保育士は、個別支援計画書に基づいた支援やサービスを実際に行うひとたちです。
児童指導員になるための特別な資格はありませんが、児童指導員任用資格が必要です。児童指導員として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
【児童指導員の要件】
・大学・専門学校において社会福祉学や教育学を専修する学部・学科を卒業している
・教員免許状を保有している
・社会福祉士・精神保健福祉士の資格を保有している
・児童福祉施設で2年以上の実務経験がある
上記のいずれかを満たすことにより、児童指導員として勤務できます。
放課後等デイサービスは、小学校から満20歳までの障がいのある子どもに対し、自立的な生活支援や協調性、社会性を養う支援を行います。平日は下校後(放課後)から、休日や長期休暇(夏休みなど)は朝から支援が始まり、事業所が企画した日課と諸活動を行います。
放課後等デイサービスには、子どもに対する支援だけでなく、保護者の就労や心理面に対する支援も行う役割があります。子どもの成長を見守り、チームで課題を克服しながら、達成感を味わえることがやりがいにつながる仕事であるといえます。興味のある方はぜひ一度、plusworkで検索してみてください!