児童福祉法に伴い保育士急募!


みなさん、児童福祉法という言葉をご存知ですか?児童の権利を保障し、児童や保護者のあらゆる支援事業の根幹となるのが「児童福祉法」ですが、令和4年6月に改正した児童福祉法により、保育士を急募している施設も多いようです。そこで今回は、児童福祉法の基礎知識と、最新の改正内容を詳しく解説いたします!

児童の福祉を保障するための法律

児童福祉法とは、18歳未満の児童の福祉と権利を保障し、国民の責任を定めた法律で、福祉六法のひとつです。児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)の精神に基づき、子どもの権利を守るための義務を、保護者だけでなく、国民全体・国と地方自治体にも課しています。また児童福祉法は、児童相談所や保育全般、障がい児支援、養子縁組(里親)についても定めています。学校教育以外の場面における、児童の暮らしを支える基盤となる法律だといえます。

「子どもの権利条約」の考え方

●子どもの4つの権利
・生きる権利
・育つ権利
・守られる権利
・参加する権利

●4つの原則
・差別の禁止
・生命、生存および発達に対する権利
・子どもの最善の利益
・子どもの意見の尊重

児童福祉法に定められている3職種

児童福祉法では、児童福祉施設のほか児童福祉司・児童委員・保育士について、その責務や資格要件を定めています。

①児童福祉司

児童福祉司は、児童相談所の業務を中心的に担う職種で、児童や保護者からの相談対応や調査、指導などの支援をおこないます。児童福祉司は、いわゆる任用資格であり「児童福祉司」という資格はなく、以下のいずれかに該当している必要があります。

・児童福祉司を養成する学校を卒業し、都道府県知事が指定する講習を修了した人
・大学で心理学、教育学または社会学の課程を修了し、1年以上相談業務に従事した人
・医師
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・公認心理師
・社会福祉主事として2年以上相談業務に従事し、講習を修了した人

なお、実際に働くには地方公務員(一般職、福祉職など)として採用され、児童相談所に配属されて、初めて児童福祉司として仕事をすることができます。

②児童委員

児童委員は、地域の児童が安心して暮らせるように、見守りや妊娠中からの相談や支援をおこなう人であり、民生委員が児童委員を兼任します。児童を専門的に担当する場合は「主任児童委員」の指名を受け、支援に取り組んでいます。児童委員(民生委員)になるには、20歳以上の市町村議会の選挙権がある住民である必要があり、民生委員推薦会と都道府県知事の推薦を経たのち、厚生労働大臣から委嘱されることで就任できます。

③保育士

保育士は、専門的知識と技術をもって児童の保育と保護者への保育の指導をおこなう専門職であり、名称独占の国家資格です。

児童福祉法の改正ポイント【2024年施行】

1947年の制定以降、児童福祉法は時代に合わせて繰り返し改正されてきました。2021年度の児童相談所での虐待相談対応件数は20万7,659件(速報値)で、2020年度に続き、20万件を超え過去最多となりました。これを受けて、2024年4月施行の改正では、児童虐待防止と対応の充実が重点的に変更されています。

ポイント1:包括的な子育て支援強化

子ども家庭センターは、すべての妊産婦・子育て世帯・子どもの包括的な支援をおこなう施設で、市区町村が設置します。相談業務のほか、支援が必要な子どもや妊産婦への支援計画(サポートプラン)作成も担います。
これに伴い、子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターを見直し、こども家庭センターに集約される見込みです。さらに、子ども家庭福祉の現場で、十分な専門性を持った人材を輩出するため、2024年からの認定資格「こども家庭ソーシャルワーカー」の運用が始まります。

・訪問などによる子育て支援事業の新設と拡充
市区町村が中心となって、訪問・通所・短期入所による子育て支援事業を新設・拡充をします。支援や保護が必要な児童は約23万人、出産前に出産後の養育支援が必要と認められる妊婦は、約8,000人いると推測されており、支援の充実が図られます。

「新設する子育て支援事業」
・子育て世帯訪問支援事業(子育ての情報提供、家事・養育の援助)
・児童育成支援拠点事業(学校・家以外の子どもの居場所支援)
・親子関係形成支援事業(子どもの発達に応じた支援、トレーニングなど)
・拡充する子育て支援事業
・子育て短期支援事業(保護者が子どもと一緒に入所・利用できるようにする)
・一時預かり事業(レスパイト利用ができることを明確化)

ポイント2:虐待防止・児童相談所の体制強化

児童虐待の増加による、児童相談所の負担増大を解消するため、民間事業などとも協力し支援が強化されます。
●子どもの意見を聴く取り組みの実施と強化
都道府県の業務として「子どもの権利擁護の環境整備」を明確化し、児童相談所がおこなう措置などの各段階において、子どもの意見の聴き取りを実施します。これまでは児童相談所の対応の過程で、どのタイミングで意見聴取をおこなうかが決まっていなかったり、各相談所により、実施の有無にバラつきがあったりすることが課題となっていたためです。また、子どもの意見表明を支援する事業そのものを、児童福祉法による制度に位置づけ、自治体は体制整備に努めることとされています。
●児相による一時保護開始時に司法審査を導入
児童相談所が一時保護をおこなう際、適正性・透明性を確保するため、裁判官による司法審査が導入されます。
一時保護とは、虐待の疑いがある場合に、子どもを親から引き離して保護するもので、これまでは児童相談所の判断のみでおこなわれていました。そのため、緊急性が高い場合に子どもの安全確保につながる一方で、虐待ではなく事故によるケガなどだった場合に、保護者が反論の機会なく、長期的に親子が引き離されることになり、子どもの権利条約違反の観点からも問題視されていました。そこで今回の改正では、一時保護要件を明確化したうえで、事前(緊急性が高い場合は事後)に裁判官が発行する、一時保護状に基づいて実施することになりました。

ポイント3:18歳以上の自立支援の強化

児童養護施設や障害児入所施設で暮らしてきた児童に関して、必要に応じて22歳まで支援が延長されるほか、自治体の移行調整の責任や、生活・就労相談の場の提供について明確化されました。児童福祉法では「児童」を18歳未満と定めており、児童養護施設や障害児入所施設による支援が終了するタイミングとなっていますが、実際には18歳から住居や収入を確保し、完全に自立した生活を送ることは難しく、柔軟な支援や適切な支援先へつなぐ必要性が指摘されてきたことなどが背景です。

ポイント4:日本版DBS導入の取り組み

ベビーシッターによる強制わいせつ事件などを受け、教育と保育に携わる仕事に就く場合、性犯罪歴がないことを証明する「日本版DBS*」制度導入への議論が本格化しています。このうち児童福祉法では、保育士の登録取り消し事由や欠格期間について、改正がおこなわれました。


このように、児童福祉法は時代に合わせて改正を重ねてきました。保育士の働きかたも見直されつつある今、保育士不足も深刻な課題になっています。
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