建設工事の全体像を解説します!

建設工事が完了するまで、その現場にはさまざまな分野の方が携わります。
それぞれの分野の方が、どのような役割を担っているかを知っておくことにより、建設工事の全体像がわかります。今回は、建設工事における営業や技術、開発、設計、積算と原価管理、施工管理のそれぞれの役割も含め、建設工事の全体像についてご説明します。

建設工事が完了するまでの流れ

建設工事が完了するまでの流れは、一般的には以下の通りです。

市場調査

企画提案

設計

契約

施工

引渡し

これに加えて、引渡し後にはアフターサービスの業務を実施します。

上記の流れの中ではさまざまな業務が発生するため、各部署や部門等が、それぞれの役割を果たしつつ、他とも連携しながら業務を行うのが基本となります。
次に各部署や部門の役割を説明します。

①営業
②技術と開発
③設計
④積算と原価管理
⑤施工管理
⑥調達業務
⑦品質管理と安全管理

これらを詳しくみていきましょう。

①営業職の役割

ここでは、営業職の役割について「建築工事」と「土木工事」を例にご紹介します。

●建築工事における営業の役割

・市場調査
・情報収集
・入札の準備や入札
・企画の立案や提案
・契約
・着工後の施工状況の報告
・引渡し
・引渡し後の定期訪問
・新規顧客の開拓

建築工事の営業は、発注者の要望を叶える建設構造物を納品する為に、着工から引渡しに至るまで、発注者の目線で活動します。そのため、発注者のパイプ役として、折衝を行うことも役割のひとつになります。

●土木工事の営業の役割

土木工事の営業の役割も、建築工事の営業の役割とほぼ変わりません。しかし土木工事は、公共発注の割合が多く、建築工事よりも公共工事に関する業務に携わる機会が多いといえます。
建設業界の営業は、公共工事の工事開始までに以下などの業務に携わります。

・発注情報の収集
・入札条件等の確認
・他社の動向調査
・入札準備
・入札
・契約
・地元挨拶
・工事担当者への引継ぎ
・工事開始

さらに設計を受注する建設コンサルタントと、良好な関係性を保ち、様々な情報を入手することも含まれます。

②技術・開発職の役割

技術職は、現場の工事をサポートしたり、営業へアドバイスしたりすることが主な役割となります。
開発職は主に、新しい工法や材料の開発を行います。
また以下の研究分野においては、多くの大手ゼネコンが独自の研究所を持っています。

・材料、施工、生産(土木と建築別)
・土質、地盤環境
・地質、岩盤構造物
・地球環境、バイオ
・耐風、風環境
・海洋、水理
・構造、耐震、制震(土木と建築別)
・建築環境
・都市、地域、防災計画、火災安全
・メカトロニクス

各社が研究に力を入れる理由としては、優れた新しい工法や材料を用いることで、予定価格が高くなる傾向にあり、利益アップに繋がるからです。

③設計者の役割

設計者の主な役割は、建設主の望みを満足させつつも付加価値を加えて、計画した最適な基本プランを図面で表現し、建設主へ提案することです。
また、図面を通してプロジェクトに関わる全ての人が、建設主の望むイメージを共有できるようにすることも設計者の役割のひとつといえます。
ここでは「建築設計」を例に、基本的な設計の流れを見ていきます。

設計準備

基本設計

詳細設計

工事監理

完成

基本設計や詳細設計では、意匠・構造・設備の担当者が、連携しながら業務を進めます。
施工中に実施する、工事監理にまつわる業務は以下の通りです。

・細部の検討
・施工図の確認
・工作図の確認
・承認
・製品検査

建築構造物の企画から完成するまでの間に、企画提案から契約に至るまでの業務が最も多いといえます。

④積算・原価管理職の役割

積算職の主な役割は、見積もりと入札のための積算や、実行予算立案のための積算を行うことです。
また、実行予算立案のための積算を行う前には、工事現場の事前調査や、発注者の品質・工期等に関する意向の確認を行います。
上記の業務を行うことにより、積算がリスクを避けながら、より精度の高い金額を出すことができるようになります。

続いて原価管理職の主な役割として、工事前に算出した実行予算と、実際の工事費を対比し、工事費を管理しながら、以下の方法などで実行予算のコスト改善を図り、工事利益を確保することが挙げられます。

・同一工種の複数の下請け会社から見積もりを取る
・着工後に作業の合理化が見込める場合、必要に応じて手順を変更する
・工期短縮などの対策を検討する

これに加え、工事完了後に実行予算と工事費の差異を分析し、次の工事に活かすことも役割のひとつといえます。

⑤施工管理職の役割

施工管理職とは、本社や本部と連携し、現場では「品質」「コスト」「工期」「安全」の条件を満たしながら、建設構造物を完成に導く役割を担います。

また、施工管理職は次の書類の作成も行います。

・工事予算書
・施工組織表
・仮設計画書
・品質管理計画書
・安全衛生管理計画書
・建設廃棄物処理計画書
・施工業者別施工計画書
・施工図

なお、施工管理業務にかかせない工程管理表には、各工事の工種、種別ごとの作業スケジュールが記載されています。

⑥調達業務

調達業務では、各工事に必要な材料や労務、外注を手配します。安く調達すればするほど、コスト削減に繋がるため、工事利益確保においても重要な役割と言えます。
できる限り安く調達するためには、調達品目についての専門知識の習得や、材料費、労務費等の市場での取引状況の把握が欠かせません。
また、現場での下請企業の指導や育成の実施をはじめ、
他の部署や部門と連携し、工程の変更を検討しながらコスト削減に繋げることも役割のひとつです。

⑦品質管理と安全管理

品質管理は、主に工事がきちんと行われているかどうか
設計通りに工事を行っているかどうかの確認と管理、ISO取得の役割を担っています。
工事が進むと、以前の工事内容の確認ができないケースも多いため、各工事ごとの確認や管理が欠かせません。
安全管理は、危険が伴う現場での安全対策や管理の役割を担っています。
仮に現場で死亡災害等が発生した場合には、指名停止などの措置が取られますが、建設業における労働災害は、年々減少傾向にあります。例えば1990年代と現在を比較すると、現在では死傷災害が6割程度も減少しています。

これまで説明したとおり、建設工事には多くの部署や部門が携わっています。
また、建設工事が完了するまでには各部門や部署が連携し、業務を進めるケースがほとんどです。
さらに、工事完了後に定期訪問などアフターフォローを実施し、診断やリニューアル等の新たな仕事に結びつけます。
建設業界で働くことや、転職を検討中の方は、建設工事における各部署や部門が担う役割を理解し、建設工事の全体像の把握をすると良いでしょう。

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