建築物を作る際には、建築の土台となる「基礎工事」が重要です。
基礎工事の質が、その建物の耐久性能を左右するといっても過言ではありません。そこで今回は、基礎工事における、施工の種類や内容についてご紹介します。
基礎工事とは
まず最初に基礎工事とは、建築の土台となる部分を作る工事のことを言います。
基礎工事でしっかりとした土台を施工しておかないと、その上に建てる建物が、不安定な状態になってしまいます。建物の土台になるので、専門的な知識と技術が必要で、基礎工事を専門とする職人が、施工を行うこともあります。それほど基礎工事というのは重要な工程なのです。
基礎工事の種類は、大きく2種類に分類され「杭(くい)基礎」と「直接基礎」があります。また、杭基礎は「既成杭工法」と「場所打ち杭工法」の2種類に、直接基礎は「独立基礎」「ベタ基礎」「布基礎」の3種類に分かれています。
・杭基礎
杭基礎とは、軟弱な地盤に採用する基礎のことで、杭を地面に打ち込み、地盤を固めることにより、基礎の安定性を高めます。地盤が軟弱な場合、建物の荷重が地面にかかるので、完成した建物全体が不安定になりがちで、そのままでは建設工事を進められないので、杭基礎という手法を実施します。
杭基礎は、さらに「既成杭工法」と「場所打ち杭工法」の2種類に分類されます。「既成杭工法」とは、既製品の杭を使用する手法で、「場所打ち杭」とは、現場に穴を掘って、その中に鉄筋を挿入することにより、杭を作る手法です。
・直接基礎
直接基礎とは、地盤に直接基礎を作る基礎工事のことを言います。杭基礎が杭を使う基礎工事なのに対し、直接工事は、杭などの道具を使いません。
つまり直接基礎が実施されるのは、比較的地盤が安定している土地で、かつ低層の建物の場合に採用される基礎工事となります。そのため、地盤の状態が良好であることが条件となります。
直接基礎は、さらに「ベタ基礎」「布基礎」「独立基礎」といった種類に分類されます。
・ベタ基礎
ベタ基礎とは、建物の土台となる範囲にコンクリートを敷き詰めるという基礎工事で、近年では多くの建築物で採用されています。建物の底全体を、コンクリートで支えるために安定性が高く、地震の揺れや、地盤が沈む不同沈下に強いという特徴があります。また、地面から発生する湿気や、シロアリの侵入を防ぐこともできるため、耐久性に優れた建物を造ることが可能です。ただし、布基礎に比べると施工の手間はかからないものの、コンクリートの使用量は多くなるため、コストが高くなるといった傾向があります。
・布基礎
布基礎とは、建物の負荷がかかる部分にのみ「逆T字型」の鉄筋コンクリートを埋め込むという基礎工事で、日本ではこれまで、多くの木造建築住宅でこの手法が採用されてきました。ベタ基礎が面で支えるイメージなら、布基礎は点で支えるイメージとなります。鉄筋コンクリートは、柱部分や壁下に配置し、地震や風などの横方向からの力への耐久性を強化します。全面的に地面をコンクリートで覆うわけではないので、使用する鉄骨やコンクリートが少なく、ベタ基礎に比べるとコストを抑えることができます。その一方で、ベタ基礎よりも湿気はこもりやすくなりますので、そのための対策として防湿シートや防湿コンクリートでコーティングすることがあります。
・独立基礎
建物の柱のみを単独で支えるという工法が、独立基礎です。最近では、建物全体を独立基礎でまかなうことはほとんどありません。基本的には、玄関ポーチの柱など、部分的に利用することになります。
基礎工事とは、文字通り建設工事の基礎となる非常に重要な工事で、建築物を作る際には必要不可欠な工事のひとつです。
そのため、土地や建物の種類に合わせ、適切な工事をすることが必須です。
建築業に携わる人は、基礎工事の詳細について、しっかり把握しておきましょう。